« 思い出すもの | トップページ | 朝のひととき »

洗濯

結婚した当初、私はあらゆる家事の中で洗濯がいちばん嫌だった。
もちろん、洗うのは洗濯機がやってくれる。
全自動だから洗剤を入れてスイッチぽん!で簡単らくらくなのはいいけれど、洗い終わった洗濯物を干す、取り込む、たたむ と作業が何段階もあるのが面倒くさくてならなかった。
しかし、それも毎日やっているうちに、それほど苦にならなくなった。
それどころか、今や私にとって最もこだわりをもって行う作業になっているのである。

例えば体調が悪いとき、夫が家事を代わってくれる。
そのことはたいへんありがたい。
食事がカレーライス一品であっても、あるいはスーパーのお惣菜であっても、自分が台所に立たなくていいというのはひらすらありがたい。
そのありがたいはずの夫の好意が、洗濯のことになると全く違ってくる。
「洗濯しといたよ」と夫に言われると、えーっcoldsweats02 と思う。
ベランダに干してあるのを見に行って、やっぱり!bearing と思う。
ありがとうと言うべきところなのは頭では分かっているが、
「洗濯は私がやるから、やらなくていいよ」と口が言ってしまう。
あぁ、これって夫婦のすれ違いの典型的パターンだわね…

夫の洗濯のなにがそんなに気に食わないかというと、大雑把なのだ。
洗濯は洗濯機に洗濯物を放り込んで回せばいいと思っている。
衣料品の種類に応じて洗剤を使い分けたり、洗濯ネットを使ったり、主婦はこれでもいろいろ気を使っているのだ。
そして、なにより一番私の気に障るのは、干してある洗濯物がヨレっとしているところ。
ヨレヨレのまま干すと、ヨレヨレのまま乾いて、全部ヨレヨレになっちゃうのよー!
そんなことに目を吊り上げて怒ってしまう自分も大人げないとは思うのだが、どうしてもそこだけは譲れない。
なので、私はどんなに体がつらいときでも立って歩ける限りは、自分で洗濯するようにしている。

自分でも不思議だが、そのほかのことではどちらかというと大雑把な私なのに、なぜ洗濯物のことだけはそんなに神経質になるのだろう。
いつも忙しい私の母は、洗濯に関してはかなり大雑把だった。
そんなことに時間をかけてはいられないというふうだった。
だから、洗濯物がしわしわに仕上がっているのもしょっちゅうだったし、Tシャツの首が伸びてしまうのも、ジーンズの色がムラになってへんな筋がついてしまったりするのも、私は気に入らなくていつも母に文句つけていた。
だから、実家では家事など全くしなかった私も、自分の服だけは自分で洗濯したものである。
私の洗濯へのこだわりは、そのころから既に始まっていたんだなぁと今あらためて思う。

母が洗ったしわしわの洗濯物への反発。
私の心の中にそれを巻き起こしたのは、祖母と過ごした経験も大きかった。
小学生の頃、週末になると私はしょっちゅう祖父母の家に泊りに行っていたのだった。
祖母は若いころ広島で被爆し、それ以来身体があまり丈夫でなくなったらしい。
そのため、私はお手伝いと称して遊びに行くのをとても楽しみにしていた。
祖母が掃除をしている姿は見たことがなかったが、よく洗濯はしていたのを覚えている。
洗濯物が洗い上がると、祖母は洗濯機から洗濯物を一つ一つ取り出し、パンパンと音を立てて丁寧にしわを伸ばし、形を整え、キチっとたたんだ。
そして、たたんだ洗濯物をダイニングの椅子の上に積み重ねて一番上に座布団を乗せ、その座布団の上に自分が座る。
そうやって10分くらいテレビなど見ていて、それから洗濯物を干しに行く。
数時間後、乾いた洗濯物はピシっとしていて、それがとても気持ちいい。
取り込んだ洗濯物を、私も祖母と一緒にたたんだ。
今も私の靴下や下着のたたみ方は、祖母仕込みの方法である。
親子でも祖母と母は全然違うことが子どもながら不思議だったが、
考えてみれば母と私もまた違うのだ。
それぞれ得意分野があり、それぞれの価値観がある。
とにもかくにも、祖母の洗濯へのこだわりは孫の私に引き継がれたのである。

毎日毎日、どんどん出てくる家族の洗濯物の山にうんざりする日もあるけれど、パリっと仕上がった洗濯物は私に満足感を与えてくれる。
祖母のように洗濯物の上に座ったりまではしないけれども、一枚一枚丁寧にしわを伸ばすそのひと手間だけは惜しまない。
年を取っていろんなことができなくなっても、きっと私はそこだけはこだわりつづけていくに違いない。

 

ブログランキングに参加しています
クリックよろしく♪

ブログランキング・にほんブログ村へ
にほんブログ村

|
|

« 思い出すもの | トップページ | 朝のひととき »

日記・コラム・つぶやき」カテゴリの記事

コメント

わかります!!何ででしょうねえ~私も一番洗濯が気になりますね。

私の母も干す前に乗るまではしないものの、かなり伸ばしまくります。母は自分で「手アイロン」と呼んでいました。乾いたあとはアイロン要らずなくらいです。
私は、そこまでするならアイロンかけた方が楽かな?やってません。
人の洗濯の仕方も興味深いですよね。

投稿: クー | 2016年6月 5日 (日) 21時58分

クーさん、こんにちは。
洗濯なんてだれがやっても同じ… と思いきや、
意外に人によってルールがありますよね。

そうそう、手アイロン!
ぴーんと伸ばしてから干すと、ほんとアイロンかけが必要ないですよね。
夏場は汗だくになりますしねー、アイロン。
私はそれが面倒で、子どものハンカチとかピンピンに伸ばして干します(*^^)v
几帳面に見せかけて、実はただの面倒くさがり(笑)

投稿: さぼてんの花 | 2016年6月 7日 (火) 11時34分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/537202/63733696

この記事へのトラックバック一覧です: 洗濯:

« 思い出すもの | トップページ | 朝のひととき »