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思い出すもの

 *このお話は「旧友」のつづきです

SNSで高校の同期生とつながってから、いろいろ頭の中が忙しい。
押し入れから卒業アルバムを引っ張り出して眺めたりしているうちに、遥か彼方に霞んでしまっていた当時の記憶がだんだんによみがえってくる。
そのころの日常や級友たちの顔。
高校時代の全貌がすっかり明らかに とはいかないまでも、
さまざまなエピソードが断片的ながら思い出され、
ひどく懐かしい思いに駆られる。
思い出の中の自分はまぎれもなく花の女子高生。
気持ちまで若返る!(笑)
時々はこうやって過去を振り返るのもいいものだ。

しかし、そこでの話題は楽しいことばかりではない。
悲しい知らせもある。
今わかっているだけでも数人の同期生がすでにこの世を去っていた。
人生は人それぞれだとは思うけれど、そんな現実をあらためて突き付けられると動揺を禁じ得ない。
昨年末の思いがけない友人の訃報により、同期生は元気でいて当たり前という認識は打ち砕かれていたはずだったのに、ここに来て別の同期の訃報を知り、新たな衝撃に打ちのめされている私なのである。

Aくんは登山中の事故だったのだそうだ。
ことの成り行きを知る一人が、その2年前の出来事について語ってくれた。
私が全く知らなかったAくんの人生の物語がそこにはあった。
高校、大学と山岳部に所属していたAくんは、その後もずっと山に登っていたのだそうだ。
私にとってのAくんは、3年のときのクラスメイト。
席が近くて、よく雑談したのを覚えている。
何を話したかは忘れてしまったが、特に個人的なことを話すのではなく、たわいのない話だったと思う。
快活でおしゃべりなAくんは私の斜め前の席に座っていて、先生が教壇に立って話しているのを聞きながらクルっとこちらを振り返り、笑いながら一言、二言、ツッコミを入れる。
だからいつも私は、Aくんの合の手が入った先生の話を聞くことになるのだった。
あまり頻繁にAくんがこちらを振り返るものだから、もしかしてこの人は私のことが好きなの!?とあらぬ誤解をしてしまいそうだが、さにあらず。
そこにいたのがたまたま私だっただけで、もしほかの子がその席に座っていたとしても、Aくんは同じように後ろを振り向き、しゃべっていたに違いない。
今回Aくんの話を聞き、彼は山岳部だったのだっけ?と思うくらい、私はAくんのことをなにも知らないのであるが、当時の彼が楽しそうに話していた笑顔だけは記憶にしっかりと刻まれている。
そのAくんはもういない。

これまで、祖父母や親戚、知り合いの方が亡くなるたびに、遠くかけ離れたところにあった「死」というものが少しずつその距離を縮めてきた。
ここに来て、それが一挙に近くなったような気がしている。
人生の筋書きは最初から決まっているわけではない。
今を生きている私たちにその先のことは分からないが、いずれ必ず「死」はやって来る。
「死」を身近なものと感じるようになったとたん、私は「死」をこわいと思うようになった。
でもそれは、自分が死ぬことがこわいというよりも、自分が大切に思う人に死なれるのがこわいのである。
「死」によって大切なものを奪い去られることが、今の私にとってはなによりこわい。
そんなこわさに直面するくらいなら、いっそ自分が死んでしまった方が楽なんじゃないかと考えるほどである。
そして思うのは、私が死んでから、家族や近しい人たちが私のことを思い出すときは、できたら笑顔の私がいい。
私がAくんを思い出すときのように。
私の記憶の中のAくんは永遠に高校3年生のままだけれど。

これからでも遅くはない。
笑顔を心掛けて生きていこうと思う。

 

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コメント

さぼてんの花さん、こんにちは。
「私が死んでから、家族や近しい人たちが私のことを
思い出すときは、できたら笑顔の私がいい」という言葉、
とても共感しました。
そして、私も、「私のことを思い出す時は、
笑顔で思い出してほしい」・・と、思っています。

投稿: hanano | 2016年6月 5日 (日) 13時07分

hananoさん、こんにちは。
コメントありがとうございます。
あとに何を残すかって重要ですよね~
お母さんはいつも怒ってたって子どもに思われたくないなぁ なんて(^^;)
思い出は楽しいほうがいいですもんね。

投稿: さぼてんの花 | 2016年6月 5日 (日) 15時10分

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