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開かずのタンス

うっかりしていた。
一年ごとに取りかえるはずの洋服ダンス用防虫剤が、交換されないまま放置され、すでに半年が過ぎていた。
急いでドラッグストアに走り、ムシューダと、ついでに除湿剤も購入し、速やかに交換が完了。
やれやれ、これでしばらく大丈夫 と一息つきながら、あらためて目の前のタンスを眺める。

嫁入り道具として父がもたせてくれた洋服ダンス。
結婚が決まって、父と母と三人で地元の家具屋に行き、買い求めた。
以来、ずっと私の寝室の今の場所に置かれている。
毎日見慣れた愛着のあるタンス。
なのに、この前これを開けたのはいつのことだったか。

結婚を機に家庭に入った私は、生活が一変した。
着るものも一変した。
それまで日常的に身につけていたスーツや外出着の出番はなくなって、今は洗濯機で洗える衣料品でほぼ間に合ってしまう。
それらは、ほかの引き出しや衣装ケースに詰め込まれているので、洋服ダンスはいつも前を素通りするだけだ。
開けることがあるとすれば、防虫剤の交換のほかには、季節の変わり目に冬物のコートを出し入れするのと、不意に断捨離を思い立ったときくらい。

着ない服など持っていても仕方がない。
意を決してタンスを開けても、そこに仕舞われているのはどれも思い出深い洋服ばかり。
これは気に入っていて大切に着ていたもの。
これは惜しげなく、仕事に着て行ったもの。
これはお呼ばれのときにほんの数回着ただけのもの。
服と一緒に、懐かしいエピソードでタンスは埋め尽くされている。
このタンスの中で結婚後に増えたものといえば、冠婚葬祭に使えるブラックフォーマルなどほんの数点と、
あとは子どもが入学式や卒業式に着用したスーツ、それに中学の制服。
収納されている服をひとつひとつ見返して、
このタンスの中って、私のこれまでの人生がギュッと詰まった空間なんだわ~
そう思ってしまうと、もう断捨離どころではない。
執着の塊となった私はため息をつき、タンスを再び封鎖するしかなくなる。
長いこと着られることもなく、シミが出てしまった服さえもそのままにして。

そんなことを何度か繰り返しての「今」である。
そろそろ潮時なのかな なんて思ったりする、ちょっとした心境の変化がある。
洋服とは繊細なもので、
オーソドックスなデザインであっても、微妙に今のかたちと違う。
スカートの長さやウエストの位置、上着の着丈、襟の形、肩のライン、それにパンツのシルエットだって。
流行はめぐって、また似たようなスタイルが流行ることもあるけれど、
でもやはりどこか違う。
そもそも、着る人間が違う。
20年も前の自分に合っていた服が、今も似合うわけが、ない。
だいたい、いいかげん、体が服に入らないだろう。
着てみなくてもそれくらい分かる。
考えてみれば、一番いい収納場所に思い出だけ眠らせておくなんて、本当に馬鹿げている。

モノへの執着を捨て、必要のないものを手放すことで、身軽で快適な生き方をしようというのが「断捨離」なのだそうだ。
頭で理解しても、心がそこに達していないと、断捨離は快適どころか、ひどくつらい作業になる。
私は、今になってやっと、洋服ダンスを整理してこれからの自分と向き合うための準備が整ってきたようだ。
なにを今さら…と人から笑われようと、ここまで来るのには時間が必要だった。
ようやく、機は熟したのだ。

 

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日記・コラム・つぶやき」カテゴリの記事

コメント

びっくりするぐらいおんなじで共感ですcoldsweats01
うちも嫁入り道具としてもたせてもらった洋服ダンスは今やもう…
そこで眠っている若い頃着ていたスーツなど、今や絶対着れないけど捨てられず…
防虫剤さえも何年前に替えたかなcoldsweats01
あたしもそろそろ考えなければ…
もう思いきれるかな~

投稿: ところん | 2015年5月10日 (日) 19時00分

ところんさんも!!
ですよねぇ。
なかなか捨てられないものですよthink
タンスの中って、時が止まってる感じのまるで異空間…

タンスが古い服でいっぱいなので、
私、新しい服を買うときに、どこにしまおう?といつも考えてしまいます。
そんなときに、タンスにしまえればいいんだなぁflair と今さらのように気が付いて、
タンスは着るための服をしまうところという本来の用途に戻すべきなんじゃないかって思いました。
今回は断捨離、うまくいきそうな予感ですhappy01

投稿: さぼてんの花 | 2015年5月11日 (月) 15時05分


私も同じことを思い、同じことを繰り返しています。
少しづつは減らしているのですが、未だ絶対に誰も着ない私のウエディングドレスが残っています。
フランス製の総レースとサテン地のドレスです。
当時は細かったけれど・・・あれから45年。
体型もそれなりに経年劣化しておりまして・・・
無用です。
シルクの丸い肩パッドの入ったグレーのコートも。
デザインがとても気に入っていました。
あと、着物も。
私の場合、終活の一部として思い切って処分すべきと思っております。。。

投稿: お黒ちゃん | 2015年5月11日 (月) 20時21分

お黒ちゃんさまもやはり同じと伺って、
なんだかほっとします。
私が特別じゃないんですねcatface

だけど…
ウエディングドレスsign03
それだけは捨てないでください~
無用でも!
お願いしますぅ(人><。)

投稿: さぼてんの花 | 2015年5月12日 (火) 16時28分

同じくです~
よし!!と思って扉を開け、やっぱり踏ん切りがつかず、何も減らせずにまた扉を閉め~の繰り返し…

頭ではわかってるつもりなんです。
でもなかなかf(^_^;ねえ~

投稿: クー | 2015年5月13日 (水) 00時42分

クーさんのタンスも封印ですか~
そうなんですよねぇ
頭ではわかっていてもね…

きっと人によって、踏ん切りのつくタイミングが
あるのだと思います。
私には、その波が今来ている気がしているんですが、
錯覚じゃないですよね!?(笑)
今回は失敗したくないなぁと思い、
いらないTシャツとかちょっとずつ処分しながら、
タンスに手を付ける前に、今は頭の中でシミュレーションしているところですsmile

投稿: さぼてんの花 | 2015年5月14日 (木) 17時24分

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