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3・11 心象の記録   その2

自宅に着いたときは、ほっとする気持ちと不安な気持ちが入り乱れていた。
家の中はどうなっているだろう。
食器棚、大丈夫だろうか。
ネコたちは?

祈るような気持ちで中に入る。
無事だった。
電気がつかない以外は、とくに変わった様子はない。

主人と義母は家にいた。
「電話したんだけど全然つながらなくて慌てたよ」
そう言う主人の声も、やや興奮している。
ほどなくして、6年生だった長男の小学校も集団下校となり帰宅した。
家族がそろい、やっと笑顔になる余裕が出た。

そうこうするうちに、日は落ち、外には闇がせまっていた。
夜が来る。
停電はいつまで続くのだろう。
情報源はラジオのみ。
エアコンも使えず、ダウンジャケットや毛布にくるまって寒さをしのぐ。
ふと気付いた。
冷蔵庫!
停電はまずいのではないのか? 特に冷凍のほう・・・
かといってどうすることもできないので、とりあえず触らないことにした。
子どもたちにも冷蔵庫を開けないようにお触れを出す。
こんなときはいったい何をしたらいいのだろう。
湧き起こる様々な不安について、今は考えないことにして、とにかくこの夜を平和に過ごすことに専念する。

こうなってみて、非常時の備えがほとんどなかったことに改めて気付いた。
懐中電灯の予備の電池も買い置きがない。
さいわい、ろうそくがあったので、数ヶ所に灯して、
そのゆらめく光の中で食卓を囲んだ。
あるものをかき集めただけの夕食ではあるが、ビデオカメラには楽しげな家族の姿が収められた。
同じことを何度もくりかえすラジオの放送をバックに、
なにげないいつもの会話も特別な響きをもって聞こえてくる。
被災地の惨状を思うと不謹慎ではあるが、そのとき私たちはある種の喜びに酔いしれていたのである。

                           その3につづく・・・

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