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2010年11月

消えた豚肉を捜せ!

それは夕飯の準備をしているときに起こった。
夜は冷えるから、温かいものを・・・と豚汁を作り始めたはいいが、ない!
何度見ても、ない。
ない! ない! ない~!!
冷蔵庫から出したはずの豚肉がないのだ。

冷蔵庫から出したのは確かだ。
パックから取り出してラップに包んで丸くしたのをポリ袋に入れて口を結んであった、その豚肉。
手のひらに冷えた肉の感触が、まだ生々しく残っている。
あれは幻なんかではない。
私は、冷蔵庫のチルドから肉を取り出したのだ。
いったい、豚肉はどこに消えたというのか!

いや待て。
こんなときは落ち着くのが一番だ。
落ち着いて捜せば、絶対に見つかる。
深呼吸をひとつして、もう一度キッチンを捜す。
ない。
もしや・・・と、家中を捜して回る。
やはり、ない。
胸の鼓動が早くなるのを感じる。

もう一度、深呼吸をしてから、目を閉じる。
冷蔵庫から取り出した肉を手に持ち、それから私はどうしたのだろう?
記憶の糸をたどる。
たどる。
たどる。
たどる。
・・・だめだ。思い出せない。
そのときの記憶が欠落している。
思い出せない自分が腹立たしい。
私はあのとき肉をどうしたというのか!

絶望的な気持ちに打ちのめされているとき、ふとひらめいた。
そうだ。
自分の失くし物を捜すときは、このあたりにあるはず・・・という先入観が邪魔してどうしても死角が生まれる。
他人の目を借りて捜せば見つかるかもしれない!

というわけで、駆りだされたのは、仕事が早く終わり帰宅していた主人と5歳の息子。
「いい? パックじゃないのよ。ビニール袋にはいって丸くなったお肉を捜すのよ!今夜の夕飯がかかってるんだから、早く見つけてね」
自分で失くしておきながら、全くもって勝手な言い分である。
それでも、これが最後の頼みの綱・・・
なんとか見つけてほしい!
・・・ほしいのだが、そううまくはいかなかった。

やはりない。
心の中で、陽水の歌が流れる。
   さがしものはなんですか~♪
   みつけにくいものですか~♪
   かばんのなかも つくえのなかも さがしたけれどみつからないのに♪
   まだまださがすきですか・・・♪

あぁ、もう見つけることは不可能なのか。
このままになると、どうなる?
どこかに放置された生肉。
やがて腐敗し、悪臭を立ち上らせ、見るも無残な姿になっていつの日か再び私の目の前に現れるのか・・・

途方にくれた私の目がキッチン中を泳ぎ、ふと止まる。
あった。
キッチンスケールの上に、ちょこんと置き去りにされた肉。
重さを量ろうとしたまま忘れられてしまった、哀れな豚肉!

家族の前で私が平謝りに謝ったのは言うまでもない。
しか~し!
   さがすのをやめたとーき~♪
   みつかることもよくあるはなしで・・・♪
という捜し物の法則は、何の根拠もないことながら実に真をついたものなのだなぁ・・・coldsweats01

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